マーケティング事例

ベンチャー・スタートアップでのテレビCMと事例まとめ

ベンチャー、スタートアップでのテレビCM

最近はスタートアップでもテレビCMを始めることも増えてきました。有名どころで言えば、千鳥を起用したSmartnewsや草なぎ剛を起用したメルカリなど。

特に最近は数億円の調達も珍しくなくなったこともあり、以前と比べてアプリのCMなどを見ることも増えてきました。

テレビCMのメリットとは

まずは圧倒的な認知度の獲得でしょう。日本においてTVCMはまだまだ多くの人々がみる広告媒体であり実はコストパフォーマンスが良いことが多いです。

またこれはアプリならではのメリットですが、メディアの視聴者層は年齢層が高い事が多く、初期で取りきれていない層にリーチできる事ができます。

  • 幅広い年代、性別にリーチができ、日本においては膨大な認知度が取れる
  • タレントを使用する事で信頼度も上がる
  • 実はコストパフォーマンスが優れることも(ケースによる

CMを作成する際のマーケターのポイント

CM作りはマーケティングの中でも個性が出るもので、マーケターの手腕が試されます。もちろんクリエィティブと言われる人々の力が大きいのですが、マーケターの役割としては大きく以下の5つを徹底し、実際に広告代理店、クリエイティブディレクターらと協業していきます。

目的を明確にする

CMを通して達成したいこと、またビジネス上の課題をクリアにする必要があります。認知を取るCMであるのか、行動までして欲しいものなのか。

例えば、漫画アプリであれば「競合を含めたアプリの中でもダウンロード数をあげる」「競合が不在なのでそもそもの認知度をあげる」など達成する目標が変わることにより作成するCMはかなり変わってきます。

ターゲットの顧客を明確にする

対象の顧客はどのような人なのかを明確に伝えるのはマーケターの重要な役割です。

クリエイティブの方がCM作成をするにあたり、この顧客の姿が浮かんでくるか来ないかで出てくるCMの質は抜群に変わってきます。当然できたCMの結果は実際のビジネス上の数値にも現れます。どのような優れたCMも顧客に響かなければ意味がありません。

「何に現在悩んでおり」「なぜ自社の製品を使用してないのか」「性別や家族構成は」「またどのような生活や価値観を持っているのか」事細かにこれらの属性を語るにあたり、ありありとその人の姿が浮かんでくるレベルにまで顧客を深く深く理解する必要があります。

ブランドとして重要な事、アイデンティティを持つ

CMは一過性のものではなく、長期的なブランド作りの一つです。そのためにブランドの資産となるものは明確に伝え、マーケターが判断する必要があります。例え非常に面白いCMでもブランドのイメージと異なるものは、マーケターが責任を持ってNOと言う必要があります。

例えば企業としてのコーポレートカラーや、商品名や商品のロゴや商品自体など。自社が持ちたいイメージについても常に一貫したものを何度も何度も顧客に伝え覚えてもらわなければなりません。

目的を達成できるか何度も自問自答する

「あ、あの(XXX/便益)ができる(XXX/商品名、カテゴリー名)って商品だよね」と見終わった後に当初設定した行動を起こしてくれるかを自問自答しましょう。

「何のCM、製品であるか」がCMを見終わった人にしっかり伝わっているかは有益なチェックぽいんんとです。

最後に大事な事はヒトを動かせるか

見ていて気持ちの良いもの。心が動かせるもの。左脳で説明できない右脳的な感覚ですが、結局は人間を動かすものです。見ていて心が動くものを自信を持って選びましょう。結構大事です。

ベンチャー、スタートアップでのCMまとめ

さて、本題です。年末年始でテレビを見るとかなりの数のテレビCMが流れて驚きました。以下、ばっと見て覚えている限りを挙げてみます。

コスメ口コミアプリのLIPS

https://youtu.be/tQqM54Rb88w

所感です

  • しっかりと「口コミアプリ」と伝え、ローラさんが携帯を手に持つ事で一般的な化粧品のCMとの混同を避けて、差別化されている。
  • ブランドカラーであるピンクも一貫して伝えていて、世界観が伝わる構成
  • 「Lips」と商品の名称に加え、アプリのロゴでCMが始まる事で、この後が何のCMかがわかるセッティングがある。
  • おそらく、「コスメを選ぶ際にどのような使用感になるのかがわからない」(だから買えない、迷う)のが、顧客ニーズだとすると、「欲しいコスメが見つかる」アプリはアプリの便益とずれる印象。
  • ローラさんが既に多くのCMに出ていて、混同しそう。後は若干CMでの演技?がセリフが聞こえにくかったりして不自然(これはしょうがないのか)

使用したことのないコスメ商品を選ぶ際の手助けとなるアプリという便益を明確に伝える余地はありそうです。

今のCMではローラさんがコスメの方法を教えるに留まっているので、お客さんがアプリの後に得られる便益のドラマが少ない印象。(よく言われるBefore, Afterのようなものですね)

しかし、コスメアプリとしてピンクの世界観、音楽も非常に気持ちの良いものとなっていて「あ、あのローラが出てるコスメアプリだよね」といった認知は確実に取れそうですね。

家計簿アプリのマネーフォーワード

https://youtu.be/nkExCZdtxSo

マネーフォーワードのCMシリーズ。全部で6つのバージョンがあるのですが、個人的にはこのつば九郎が抜群に面白かった。ポイントです。

  • しっかりとオレンジのブランドカラーを使用している
  • 「お金の見える化アプリ」といった言い回し。(おそらく今まで思われていた)家計簿アプリではない、ブランディングが意図的にされている
  • お金って・・のセットアップで、お金に関するそれぞれの悩みや考え方を提示して、様々な顧客のニーズを解決できる製品である事を伝えている
  • (当たり前ですが、大事な)しっかりと携帯の画面と商品名とロゴを出していることで、アプリのCMであること、マネーフォーワードという製品であることを印象付けている。

建設現場と職人のマッチングアプリ助太刀

正直非常に厳しいCMなのかと。まず、何のCMかが非常に難しかったです。

そもそもアプリのCMである事を気づくのが後半ギリギリでした。このアプリが何をしてくれるのかが最後の「建設現場と職人をつなぐ」くらいしかわからずにCMが終わってしまいました。

ファッション通販のSHOPLIST

意図はしっかりと見てみると伝わる構成です。例えばですが。

最初と最後のスマホから白石麻衣が出て来るところで、スマホでのショッピングサイトという認知を取ろうとしています。

途中での値段を入れて、かなり安いファストファッションのサイトであるということも伝えようとしています。

が、かなり弱い。目的が「安いファストファッションサイト」なのか「品揃えが豊富なファストファッションサイト」、「新春バーゲンが期間限定でやっている」なのかがボヤけてしまって中途半端なCMになっているという印象。

コミックレンタルのRenta

漫画の原作を少しだけチャックしたいというありそうなセットアップ。

「読まずにいらRenta」は競合ひしめく漫画アプリの中で、パッと名称を思い出すきっかけとなるので良いフレーズ。

このフレーズの有無でアプリや検索のダウンロード数がかなり変わってくるかと。

電子コミックのコミックシーモア

https://youtu.be/EOcx8hQgh94

同様のコミックシーモア。コミックシーモアという認知は取れたのでしょうが、それ以上でも以下でもないCMの印象。

まとめ

さて、かなりのCMをまとめましたが、CMはマーケターの仕事の中でも力が試され、ビジネスの結果を大きく左右します。しかし、行き着くところは顧客の悩みや欲求に真摯に立ち向かうことに尽きるのかと。

テレビはオワコンと言われていますが、純粋にマーケティングとしてのテレビCMは面白いですね。そこには意図があり、チームで作るといった泥臭さもあり、ビジネスに繋がるというスリルもあります。

興味ある方は以下過去の参考記事も参照下さい。

ブランドを作るビジョンのお話です アシックスブランド秘話 – ブランドにビジョンはあるか?

ブランディングについての話 【ブランディングとは】自社ブランド理解の方法と事例


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