キャリア・仕事論

【キャリア】広告代理店の営業職は絶滅するか?

「もはや絶滅危惧種」と酷評された、広告代理店での営業職に関して取り上げます。P&G¹ 最高マーケティング責任者のマークプリチャード氏が、先日行われた英広告主協会年次大会において、代理店営業に関して非常に辛辣なコメントを残しており、費用削減のため営業職のランクを下げることまで言及しました。1) P&G は世界1位の広告主で、広告出稿額は約1兆円と他を圧倒している。1兆円というと大体ですが日本のトヨタの約3倍。世界での広告費ランキングに関して、Ad Ageによる2017年広告費ランキングより

もはや絶滅危惧種となった営業職

広告ビジネスの変革を呼び掛けるP&Gのマーケティング責任者、マーク・プリチャード氏は今週も「エージェンシーの人間の4分の3は、クリエイターとなるべき」と発言している。 ロンドンで開催された英広告主協会(ISBA)年次大会での講演後にCampaignの取材に応じたプリチャード氏は、クリエイティブ関連の費用は一般的に、全体の費用の半分にも満たないことへの不満をあらわにした。「クリエイティブ制作に関係のない費用はすべて除くように」とエージェンシーに求め、営業職のランクを下げれば可能だろうと述べた。

Read more at: 2018年3月 世界界マーケティング短信より

広告代理店における営業職、アカウントエグゼクティブとは?

広告代理店における、営業職の名称で仕事内容としては、広告主(一般的にはクライアントと呼ばれています)に対し、広告媒体、予算配分、またTVCMやウェブプロモーションなどの自社クリエイティブの提案を通し、広告主のマーケティング活動の実現の為の窓口となる職種です。広告代理店内での関係各所(クリエイティブ、メディア)、その他メディア関係者、と、クライアントと多岐に関係者が渡る為、高いコミュニケーション及び知識をが要求されてきます。

クライアントに答えられない営業

「それであれば〜〜でできますよ。」かつての広告代理店では、アカウントが一定の知識を持っており、クライアントからの相談に対して、その場で一定のコンサルティングができていた。

しかし昨今の広告主のデジタルシフトを始めとした多様化したメディア、また新興企業の台頭によるメディアエージェンシーの多様化により、アカウントが知らない、わからないという事態が。結果、「担当者に相談してみます。」「一度持ち帰らせてください」といったなんとも拍子抜けな回答が急増してきたのではないか。

営業職は絶滅危惧種か?

現在の社内調整、スケジュール調整だけでは間違いなく絶滅します。マーク・プリチャード氏が述べているように、単なる調整役であれば、単純なアシスタントを雇っておけば済むことであり、高い金額を払って存在する価値を見出すのははっきり言って難しいでしょう。

多様化した課題解決を強力に実現する力が求められる時代へ

ここ数年のマーケティングを取り巻く環境は激変している。特にデジタル回りの環境はGoogle, Facebook を始めとしたデジタルエージェンシーが存在感を増してきたこともあり、非デジタルを主として扱う広告代理店にとっては非常に厳しい時代になってきた。営業と言えど、現在多様に変化するマーケティングの環境に対し、最新の知見を持ってクライアントが抱える課題を解決する、高度な知識、専門性が求められるようになってきた。

(そして昨年からはデジタルにおける広告費も大幅な削減となっている。デジタルアドのような成長エリアに関しても、今までのようなデジタルといった甘いワードでお金を払ってくれるクライアントは減ってくるでしょう。)

こちらは同 P&Gのマークプリチャード氏によるデジタル広告費費用削減の記事

https://www.businessinsider.jp/post-34647

絶滅しないための転職とキャリア形成

それでもアカウントエグゼクティブが必要な理由として、クライアント側からすれば、一貫して「できますよ」と思いも寄らない提案を出してくれる人材を常に求めています。そういった意味では幅広く自分自身の提案の武器を増やすために、広告代理店の営業職における転職(または部署移動)はキャリアの幅を伸ばす上では選択肢の一つとしてはありかと思います。特に扱うエリアが異なる分野では、転職によって自分自身の提案できるエリアがグッと広まるのではないでしょうか。

デジタルエージェンシーであれば、デジタルの知見だけではなく、クライアントの抱えるマスマーケティングについて。大手の広告代理店であれば、マスマーケティングだけではなく、最新のデジタルアドに関する知見。といった、クライアントが抱える課題を正しく理解した上で最適な提案を行うための幅広い知識はこれからも最低限求められてくるでしょう。

広告代理店に関わらず、「飲みニケーション」での営業が自粛されている時代の中で、以前にも増して強く求められるのは、課題を強力に解決する力、実現するための実行力なのは必然になってきました。そのためには、常に業界の最新動向、クライアントの課題解決の手法を逐一把握し、自分自身の専門性を一貫して高め続ける必要があります。そうしないとまさしく絶滅危惧種となってしまうでしょう。

武器を持つプロフェッショナルになる時代に

このことは営業職でなくて、全ての職種に当てはまり、極論としては、誰しもがプロフェッショナルと呼ばれる専門人材になるのがこの先の世の中の流れの必然でしょうが。その為には、自分自身が誇りを持って、日々日々の小さな努力を重ねていけることを選択するのがキャリアにとって何よりも大事ですよね。

先日はマーケティングのキャリアについて取り上げました

長くなりましたが、絶滅しない為に生命は環境の変化に合わせ様々な変化で対応してきました。全ての職種においても、時代における変化があり、姿形を変えて未来に残っていくものだと思っています。

それでは、また明日も良い日でありますように。


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