ユーザーインタビュー(顧客調査)とは
マーケティングにおける定性調査の1つです。実際に顧客を呼び、インタビューという形で質問や対話を通して顧客ニーズやサービス改善点のヒントや検証を行っていく手法です。
定量調査などと組み合わせながら、マーケティング戦略の策定、新商品企画、UX/UI、サービスの改善などあらゆるマーケティング活動へ活用できます。
外資系でも顧客調査はかなりの頻度で実施されており、ユーザーインタビューを担当する専門部隊を抱える企業も多くあります。
インタビューの設計について
僕が所属していた部署ではインタビュー設計には徹底した準備を行いました。インタビュー設計というと、「誰を呼んで」「何を聞く」といった程度と思われるかもしれません。 また毎回の調査で、「インタビューしたけど、結局何もなかったな」となっているのは確実な準備不足です。
調査前からありとあらゆるシナリオを考えることで調査のクオリティが格段を上がります。入社してその道のプロである方の言葉で印象に残っているのが、
「インタビューに行く前に大体のことは終わってるよ。お客さんがいうパターンを想定して、自分自身の仮説を確かめていくんだけど、自分の想定外のことが起こるからやっぱりマーケティング、インタビューは面白いよね」
と、調査結果を調査前に書くという離れ業を行う者もおります。
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1調査目的の確認
当たり前ですが、調査の目的を確認します。結構おろそかにしがちですが非常に重要。以下の3点を自問自答して、ユーザーインタビューの概要を確認しましょう。
- 何の為に調査をやるのか
- 何を知らなければならないのか
- 調査後に取るべきアクション
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2リクルーティングと調査方法
やるべきインタビューの概要が決まったら、知るべき内容に合わせてインタビューを行う人を決めていきます。またインタビューの方法も決めておきましょう。 ここで注意したいのはグループインタビューは基本的にはNGです。
日本人の場合は特に他者に意見が流されやすい為、基本的は1on1という1対1のインタビューが絶対的に推奨されます。強いてグループインタビューの場面を挙げるとするとアイディア出し程度でしょうか。
後にも記述しますが、インタビューは一つの事象を徹底的に深く掘り下げていくことにより、「インサイト」と呼ばれる本人も気づいていない様な行動の下になる価値観や常識などを探っていきます。そのために、複数人のグループでは話の深堀が難しく、個人の価値観が他の参加者がいるために表に出てきません(経験上無理です)。未だにグループインタビューを行って顧客調査を行う企業も見えますが、僕の個人的な経験では推奨しません。
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3質問事項(インタビューフロー)の作成
質問事項を整理したものはインタビューフローとも呼ばれ、インタビュー当日にも使用されます。主に以下の2つから構成されています。
- 対象者に聞くための質問項目
- 質問で確かめたいポイントを箇条書きしたリスト(例 購買欲を競合製品より強い理由を確認 など)
インタビューのこつ
心がけるポイント
- 主役はユーザーでありお客さん。対象者にできるだけ話させる。
- 時に沈黙は使用しても、相手の言葉を引き出す。
- 徹底した深掘り。事前に書いた確認事項は理解できるまで何度も質問を繰り返す。
徹底して深掘りをする
人の行動の裏の理由を理解するためには、ポイントを絞って何度も理由を確認する必要はあります。例えば購入理由を聞いた際も、よくあるコメントの例をすると。
うーん。何となく気になって。雑誌とかで有名だったじゃないですか。確かカリスマ主婦のxxxさんが勧めていて凄い良いなって!
どうでしょう。「あぁ、雑誌でカリスマ主婦がコメントすると良いのか」と流してしまうとインタビューとしても、マーケティング担当としても失格です。
パッとした点を挙げると以下のような点はもっと深掘りしていく必要があります。
まだまだ聞けるポイント
- 何の雑誌だったのか。なぜその雑誌を読んでいるのか。
- どのような記事だったのか。どの内容が良いと思ったのか。
- xxさんの何が良いのか。それは他の人と言われるのと「何が」違うのか。
相手の言葉を反復する
心理学的にも証明されていますが、相手は自分のことを理解してくれていると思い共感度が高まります。何事もそうですが、相手は自分の意見を聞いて欲しく、否定はされたくありません。例えばですが。
「この商品がすごく好きで毎回買っていてるんですよ」
「そうなんですね、すごい好きで毎回買っているんですね。」
「そうなんですよ、特にこのxxxが気に入っていて、以前買っていた商品と全然違って!」
「全然違うんですね!」
「そうそう!わかります。このところなんですけどすっごくお気に入りで。何が違うかというと。。。」
のような形です。どうですか、反復しているだけですよね。しかし不思議なことにうまくインタビューが進んでいまいます。
反復することで、対象者から自発的に話が出てくるのが理想です。
ここでの相槌はミラーリング効果とも言われます。ミラーリング効果とは、心理学の用語であり、同調効果とも。その名の通り、ミラー(鏡)のように相手を真似ることで、親近感を持たせる心理的テクニックの1つです。言葉だけではなく、仕草やなどの体の動きや、「それはとても悲しいですね」など感情の同調なども効果的です。
顧客に興味を持ち理解すること
これに尽きるのではないでしょうか。徹底して何故だろうと問いかけ、理解しようとする。すると自然にインタビューは出来ているはずです。
Memo
人と話しをする時、どんな話題を選ぶべきでしょう。
それは相手にとって最も関心のあることを選ぶべきです。
では相手にとって一番関心があることは何か。
それはもちろん、その人自身のことです。
相手のことを話題にすれば、大いに会話は盛り上がるはずです。
レス・ギブリン(Les Giblin) (心理カウンセラー)
人間や顧客への純粋な興味と担当ブランド・ビジネスへの愛着をもてば自然と顧客理解は深まっていくと思います。
顧客進展などに関しては、過去の記事も参照下さい。
参考 カスタマージャーニーとは? 『5つのポイント』と作り方・事例