マーケティング用語集

市場調査とは−新商品における方法から調査金額まで

市場調査とは

マーケティングリサーチ(Marketing research)とも言われております。市場に関する調査の事で大まかに定量・定性調査とも分かれ、調査したい目的により調査内容は多岐に渡ります。複雑な調査設計から結果をマーケティングプランに落とし込む鍵となる箇所で、マーケティングが強い会社は市場調査部を自社内で持つ事が多いです。
調査も多種多様に渡るため、今回はよくある「新商品発売」に関した調査。新商品や新企画がある程度固まり、一度市場での評価をしたい場合を取り上げてみます。

新商品はどれくらい売れそうなのか? 感覚や勘に​頼らない為に

ユーザー調査で数名にインタビューをしても良いですが、数名ではサンプル数が少ない為に評価が正しくできません。そこで量的調査と言って、ある程度のサンプル数を用いて評価をして行きます。近年のインターネットの普及もあり、ウェブで調査を行うことが一般的です。
新商品評価における一般的な設問の例として、具体的な設問をあげますと。
こちらに先ほど見ていただいたxxx(商品)がxxx円での価格で実際に店頭で売っていたとします。その際にご自身に当てはまるものをお選び下さい。
(新商品、新企画の説明及び価格を別表示)
  • 絶対に買うだろう
  • 多分買うだろう
  • どちらかわからない
  • 多分買わないだろう
  • 絶対に買わないだろう
このような設問を設定し、購買意向を計測したりします。ここで仮に出てきた結果が以下のようなものが出てきました。
  • 絶対に買うだろう (18%)
  • 多分買うだろう (23%)
  • どちらかわからない (36%)
  • 多分買わないだろう(18%)
  • 絶対に買わないだろう(5%)

どうやって結果を評価するのか?

先ほどの結果、そもそも「絶対買うだろう」が18%とは良いものなのでしょうか?
「絶対に買う人が18%もいるんだから、少なく見積もっても日本の人口の10%は買ってくれるはずだ!」
はい、こんなことは起こりません。(後述しますが)
アイディアや企画の良し悪しの簡単な判断方法としては、ベンチマークという手法を使われる事が多いです。これは、実際に出ている自社製品や競合製品を同様に調査にかけ比較する手法です。つまり、ここで競合や自社の既にある製品より調査結果が良ければ、「少なくとも」それらよりは強い商品と判断するわけです。
新商品A vs 競合製品の結果
  • 絶対に買うだろう (18% vs. 10%) <- 競合より良いスコア
  • 多分買うだろう (23% vs. 21%) <- 競合より良いスコア
  • どちらかわからない (36% vs. 35%)
  • 多分買わないだろう(18% vs. 24%)
  • 絶対に買わないだろう(5% vs. 8%)

で、何個売れるのか?

「絶対に買う人が18%もいるんだから、少なく見積もっても日本の人口の10%は買ってくれるはずだ!」
えぇ、そんな事は全く起こりません。と断言しましたが、先ほどの調査では考慮できない要素が実際の市場では起こります。例えば以下のような事が代表的です。
  • 認知率 - そもそもこの商品を知らなければ購買意向に至ることまで及びません。(先ほどの調査は認知率が100%取れた際の結果です)
  • 店頭での商品陳列 - 買いたいと思っていても実際に店頭に存在しなければ買うこともできません。例えば、「あ、この新商品買いたいな、早速Amazonで検索してみよう、あれ、、、無いぞ。。。」こんな人たちは実際に購入までは至っていませんよね。(先ほどの調査は顧客が商品を買いに行った際に、実際に商品が見つかった時の結果です。)
  • 競合の存在 - 18%の人が絶対買うといったものの、この人たちは他の商品を選ぶかもしれません。実際に似たような商品がより安い値段で売っているという事もありえますよね。
これらを考慮して、先ほど結果を元に売上の予測を立てようとすると。
推定購買率 = a) 18% (絶対に買うGr) + b) 23%*50% (多分買うGrが半分買うと推定)  * c) 40%(認知率) *d) 80% (商品陳列・アクセス率)  *e) 70% (競合優位性) = B) 推定購買率 6.6%
売上数 = A) 日本世帯数 約5200万世帯 (マーケットの全人数規模) B) 6.6% (先ほど出した推定購買人数率) C) 世帯当たりの年間平均購買個数 3個
->>> 年間 1029万個
それぞれは筆者が思いついた適当な数字なので、マーケティングプランや営業計画などから近しい数値を持ってきたり、統計的な数量モデルを使用したりします。この売上予想、達人ともなると実際の販売量と3%以内で一致したりもします。(筆者も数回は3%以内で的中させたこともありますが、運の要素も強いです。)

調査の値段・価格に関して

調査票設計から集計から分析まで入れると約150万程度でしょうか。もちろん細かな見積もりや、設計をどうするかにもよりますが。極端な話、自分自身でリサーチ設計から集計、レポート作成までやれば数十万程度で済む事もあります。参考までに代表的なインターネット調査会社を上げてみました。
※調査設計によって値段はかなり変わってくるので、どこが一番安いなどとは判断できません。あくまでも参考までに。

調査設計時の重要事項

これに関しては徹底して叩き込まれましたが、リサーチ前にどこまで深く考えられるだと思います。目的は何か、このリサーチの結果でどのようなビジネスインパクトがあるか、どのような結果が考えうるか。それらを事前にいかに深く、多く、漏れ無くカバーする事。それが結果として、調査対象のスクリーニング、リサーチへの設問、集計処理、そして調査票からビジネスへの提案へと繋がっていきます。
極端な話ですが、深く考え込まれた調査ではリサーチ結果が出る前に既に調査結果表が書くことができ、結果の数字を埋めるだけなんて事も。
  1. そもそも調査目的は何か?
  2. 調査をすることによって、どのようなビジネスインパクトが得られるか?(ここは1と厳密に分ける必要が有り)
  3. どのような結果が出れば、1や2が達成できるか。その為の調査設計されているか?

本日取り上げたのは市場調査の中の少ない例ですが、皆様の市場調査や新製品を考える際の参考になれば。

新製品・市場創造のお話はこちらも参考に

https://kogito-marketing.com/shijou-sozou/


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