セグメンテーションとは
対象の市場に関して、類似する性質に基づき、細分化・グループ化することです。いくつかのグループ化により、参入する領域・方法を判断できます。
セグメンテーションを用いて参入対象エリア (ターゲティング)・便益 (ポジショニング) を判断する一連の流れを頭文字を取りSTP (Segmentation, Targeting, Positioning) と言ったりもします。
長めの記事ですが、セグメンテーションに取り組む際の事例、進め方と費用などを扱っていきます。
セグメント一例 (喫茶店・カフェにおけるセグメント例)
喫茶店・カフェセグメンテーションを例として挙げてみました。それぞれ以下のように概要をマップで示しています。
- セグメントグループ名
- 市場規模 (%)
- 便益としてユニークに求めるもの
※筆者による例のため、ここで挙げられているセグメントやそれに伴う数値は第三者による根拠のあるものではありません。
セグメント概要について
- 打ち合わせGr 打ち合わせなどの仕事などで活用する人々。打ち合わせで使用する為、なるべく会話に関しては周りに聞かれたく無く、落ち着いた雰囲気の店内を探している。外での打ち合わせをメインとする
- 自分の時間Gr 自分自身の作業(読書、勉強、資料まとめ)などに集中したく活用する。長時間集中したいが、かと言って家だと捗らないので人が居て集中できる場所を探している。PCや携帯をカフェでは使用する。
- サクッと食事Gr 喫茶店での食事・軽食を目的に来店する人。ファーストフードでは食べられないようなメニューを期待しいるが、かと言ってファミレスやレストランまでしっかりとした食事をしようとは思っていない。
- 本格コーヒーGr 家では飲めないコーヒーを楽しみにきている人。コーヒーの違いを知り体験したいと思っており、コーヒー豆や焙煎の知識などにまで興味がある。
- 友人との会話Gr 友人や恋人とのデートで活用する人々。ゆっくりとした会話が目的のため、お店の雰囲気は大事。メニューにもちょっとお洒落なデザートがあれば、長居もでき会話も弾む。
- 疲れて休憩Gr ちょっとした休憩に用いる人々。目的が休憩のため、メニューにも特にこだわりはないし、長居する気もない。先ずは席の確保をしたく、目についた喫茶店から先ずは入っていく。
ステップ1 - セグメントのとっかかり(仮説出し・小規模定量調査)
先ずは仮説ベースでセグメントの切り口になりそうなものを見つけて行きます。とはいえ、いきなり始めようにも困ったものなの、下記はセグメントを考える上での切り口の一例です。
セグメント仮説出しの3つの質問
- 何を目的にしているか。カテゴリーにおける考え(喫茶店・カフェにどうして行くのですか?)
- どのような人々か、価値観を持っているか(普段、喫茶店でしている事を詳しく教えて下さい。)
- 具体的に求めている便益は何か(喫茶店を選ぶときに必要な物を教えてください、何故他の店舗ではなくて、その喫茶店を選んでるんですか。)
先ほど挙げた一例のセグメンテーションはこれらの3つの切り口から推測したもの。もちろん綺麗に切れない、重複もあったりする場合もあるので、その際は適宜修正を加えていきます。大事なのは先ずはとっかかりを見つけ進めてみる事です。
手法やかかる費用
- 仮説出し こちらは無料。アイディア出しと言った形で様々な人の協力を仰ぐのを推奨します。
- 小規模定量調査 とっかかりもわかない場合は先ずはユーザーに会ってみます。20名くらいのユーザーに合えばなんとなく方向性や違いなどもわかってくるでしょう。20名の定性調査を約3日間実施したとして、費用はコーディネートなども含めて約300万程度でしょうか。
ステップ2 - セグメントの市場規模・仮説検証(定量調査・クラスター分析など)
先ほどの仮説を元にどのくらい市場規模があるのかを検証して行きます。先ほど仮説出しした切り口に関して設問を設置して、日本であればネットの調査にかけていきます。そうすると、それぞれのセグメントの推定人数や来店頻度、来店目的などといった情報が数値となって明らかになります。加えて、30代男性・喫煙者などより詳細な属性がどのセグメントに多いかなど、より詳細な情報も取得可能です。この定量調査のデータを元の更に因子分析やクラスター分析などを加えてセグメンテーションを作成する事も可能です。※これらの手法は先ほどの喫茶店を選ぶ軸やそれらのグループを作る手法です。細かな分析手法はマーケティングリサーチ会社にて説明されてますので、そちらを参照下さい。)
定量調査で入れる設問の例
- カテゴリーにおける考え・重要度(喫茶店・カフェにいく際に重要視しているもの)
- どのような人々か、属性情報(年齢・年収・性別などの属性情報を設問に入れる)
- 現状の競合や使用状況の把握(実際に普段使用している店舗や店舗での購入物や購入額に関しても設問に入れていく。)
これらをセグメンテーションにおいては以下のような分類法として扱っています。
- サイコグラフィック変数(心理的変数)
- ジオグラフィック変数(地理的変数)/デモグラフィック変数(人口動態変数)
- 行動変数
手法やかかる費用
- 定量調査 大規模調査にかかる基本的な費用。調査規模にもよりますが、1000人のサンプルで設問数も50以上と予想される為、値段の目安としては100万円以上。
- クラスター分析(因子分析なども組み合わせ) 定量調査と合わせてできます。規模やレポートにもよりますが、値段の目安としては400万〜1000万程度。
ステップ3 - セグメンテーションをした後に
実はここからが事業会社やマーケティングでは大事で。うまくセグメンテーションができたからと言って何も意味がありません。ここから、その上でどうする?と言った議論に戻り、再び用いたセグメンテーションのユーザーのまた満たされていないニーズなどを発掘すべく定性調査などをして新商品の企画を詰めていきます。新商品企画の市場調査に関しては、こちらも参照ください。
セグメンテーションまとめ
様々なセグメンテーションの中で、この手法が最も筆者が好きです。理由は、(企業における)商品企画に最も使えるからです。
セグメンテーションにおける切り方が多く存在します。よく用いられる人口動態の例で言えば、例えば30代主婦などと切り口を決めたとしても、その中で存在する価値観は様々です。自分自身の身の回りを見て見ても、同学年で全く同じ製品、価値観を持つ人は多くは無いですよね?
つまりセグメンテーションはできても、”使えない・無意味”なケースになりがちです。その点、心理的セグメンテーションでは、商品のニーズと便益に着目している為、そのニーズがどの位あり、便益が競合と比べ優位かに直接関わる為市場に出るときの戦略がかなり描きやすいです。
また、これはある意味大企業や投資家への説明しやすい、マーケティング・営業に落とし込む際にストーリーになりやすい為です。例えば
「XXXというニーズを持つ人は市場に30%おり、彼・彼女らに対して、ニーズを解消する新しいXXXといった便益を訴求することで市場のシェアを10%獲得することが期待できます。彼・彼女らをもう少し詳しく説明するとですね、普段XXXといった生活をしていて(こんな人たち周りにいませんか??)」
のような、あたかもそれっぽい説明ができるのです。この説明は実はマーケティングプラン、CMや店頭パッケージ、雑誌広告や商品冊子を作る上で非常に大事で対象となるユーザー像がありありと浮かび上がる説明がデザイナーのインスピレーションを刺激して良い広告やマーケティングプランが出てきます。
本日取り上げたのはセグメンテーションの例ですが、皆様の市場調査や新製品を考える際の参考になれば!
新製品・市場創造のお話はこちらも参考に
https://kogito-marketing.com/shijou-sozou/
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